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2010年10月

2010年10月23日 (土)

USBメモリ利用時の注意

今日お預かりしたのは1本のUSBフラッシュメモリ。
仕事の文書が大量に入っている。
要件は「中のWord文書を修正し上書き保存するとエラーがでて保存が出来ない」とのこと。

実際にやってみると確かに「ファイルアクセス権のエラーのため保存できません」とエラーが表示され、ファイル名が表示され、OKボタンしか表示されないダイアログボックスが表示される。

ファイルシステムをチェックするも異常なし。
2GBのUSBメモリで10%しか利用されておらず空き領域の問題ではない。
ウィルス駆除ソフトでスキャンしたが問題なし。

こういうときは出力されているエラーメッセージを正確にそのまま検索文字列としてGoogleで検索するに限る。
・・・なんだよこれ。http://support.microsoft.com/kb/813997/ja (役に立たないので見なくて結構です)
ハードディスクの空きやウィルス駆除ソフトの問題にしているが、50Gの空きがあるのに動かないのか?
マイクロソフトのサイトは自分のプロダクトのバグに対して弁護しすぎる。よっぽど自分の責任にしたくないらしい。
知恵袋のログもヒットするが、これも役立たず。知恵袋のベストアンサーは決して正解ではないので注意すべし。というかこういう玉石混合だからKnowledge Baseとして役に立たない。
まだOKWaveのほうがきちんとしている・・・と思ったがウィルス駆除ソフトの話だけ。

探しまくって見つけたヒントはこれ。
http://www.zqwoo.jp/sak_bfqa/show_c/BUF6661
当該USBメモリはFAT16でフォーマットされていた上に漢字のファイル名連発でしかもルートディレクトリに180個以上のファイルとフォルダを保存していた。FATのルートディレクトリのエントリはディスクサイズに依存するが8.3形式の短いファイル名でも512個までしかファイルは保存できない。ロングファイルネームを利用するとディレクトリエントリが使われるため、ファイル保存数の制限がさらに小さくなる。
Wordはファイルを上書き保存する際に、仮の名前で新しくファイルを保存→正常終了したら古いファイルを削除→仮の名前を正しい名前にリネーム、との3段階で保存する。つまり最低でも1つ空きエントリがないとファイル保存ができないわけで、その際に当該エラーが表示される。

問題は、Wordはなぜそれを正しく通知しないのか、ということ。「ルートディレクトリに保存する制限を越えています」とのエラーが出ていれば、ルートのファイルをフォルダに整理することで空きエントリができるため、保存も正しく行なわれるのだ。

この制限はFAT32ではゆるくなるし、FAT16でもルートにフォルダをつくりその中に保存する分には問題は発生しない。(ただしFATの場合1フォルダ内に1000もファイルを作るとアクセスが非常に遅くなる)
もちろんNTFSでフォーマットすれば問題は発生しない。(MFTは自動的に広がるため)
2GBということで普通はFAT32でフォーマットされるのだがFAT16でフォーマットしたのが問題だった。

お客様には「ルートにはフォルダを50個ぐらい作るようにしてその中にうまく整理すればでなくなります」と言い添え、あとFAT32でフォーマットし直してデータを戻した状態でUSBメモリを返却した。

USBメモリをフロッピー感覚で使っている方はこの問題に引っかかることが多いだろう。フォルダをうまく使ってUSBメモリをうまく使いこなして欲しい。

2010年10月 6日 (水)

Yahoo!知恵袋はKnowledge Baseになっていない

また間を空けてしまいました。

併設の事業がままならずクロージングするための準備中です。夜逃げなんて馬鹿なことはしない。円満に業務を終了させることに腐心する今日この頃です。

さて。

Yahoo!Japanのサービスのひとつに「知恵袋」というのがあり、気軽に問い合わせし気軽に回答できるため利用する方も多いようだ。

パソコンのQ&Aも非常に多く、たった今直面したトラブルに頭を抱えている人からの書き込みや何日頑張っても解決できなくお手上げの人の書き込みなどを重点的に解決方法の概略とヒントを書くことがある。

当該現象の原因はなにか、どういう仕組みで現象が発生するのか、現象を回避するために根本原因を直すとしたらどうするか、また単に回避したいだけならどうするか、分かる範囲にちょっと検索して正確性を高めて回答をつけるようにしているため、単に現象を回避する方策しか書かない回答に比べどうしても長くなるし、原因がユーザー当人の不始末に起因する場合、それもはっきり書くため、質問者は自分のミスを指摘されたように思うのかもしれない。

気になるのは、そういう回答をつけたとき、例えば「あなたのパソコンはウィルスに感染しています」と回答をつけると、かなりの割合で質問自体の存在を抹消してしまうのだ。

質問者も「ウィルスに感染するのは素人のやることだ」とか思っていたのに感染してしまい恥ずかしい気持ちがあるのだろうし、仕事によってはウィルスに感染するような行為自体禁止されている職場などでの感染発覚の場合本人への処分もありうるため、ウィルスに感染したこと自体を「ないものにしたい」という気持ちがあり、知恵袋の「質問者は一定期間は無条件に質問を取り消すことができる」ルールを安易に利用してしまう。

これの何が困るといって、その回答は当人にしか役立てることができず、類似した現象に遭遇した別のユーザーの利便を全く配慮していないこと。Knowledge Baseという言葉があるが、技術的な質問と回答を集積したデータベースはパソコンの範囲に限っても日々発生する問題の解決に役立つのだが、現状の知恵袋はKnowledge Baseの役にはたたないのだ。

医学に例えてみると、ある症状を訴える患者がいたとして、研究機関が調査した結果を元に医師がその病名を患者に伝えた時、「そんなはずがない、お前の勝手な言い分だ」と言わんばかりに憤慨してカルテを引き裂き、診察室を出て行くようなものだろう。

別の患者が類似した症状を訴えた時、別の医者が「そいえば**先生が似たような症状の患者を診てたな」といってカルテを探しても見つからないため、またその医者は研究機関の調査結果を吟味しなければならない。

カルテ、と呼べるほどの立派な回答をしているわけではないが、それを書いた人間の著作権を平気で侵害するYahooの態度にも腹立たしいものがあるが、回答をもらった人間が「余計なお世話だ」と言わんばかりの態度で回答を削除するのは、されたほうとしては気分のいいものではない。

知恵袋をまともなKnowledge Baseとして役立たせたいと思っているなら、質問者の質問削除権を制限しなければならないのだ。

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