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2010年6月

2010年6月20日 (日)

インターネットの代表的掲示板が2chであることの不幸

自慢じゃないが2chという掲示板の閲覧は嫌いではない。

ニュースの記事を見るときに、多角的なニュースが取り上げられるため、今までのマスコミだけではない情報提供があるので、いろいろ考えることができる。

しかしそこまでだ。取り上げられたニュースに対してついているコメントが便所の落書きばかりで、「玉石混合」な場合もあるだろうが玉を捜して読むほど暇でもないのでコメントまで読む気にならない。

問題は、マスコミが2chをネタに記事を書くこと。本来、2chのニュース板は独自取材のニュースなどはほとんどなく、どこかのマスコミのサイトに掲示されたニュースが引用されているだけであり、本来ならマスコミがそれを引用するというのは2chを媒介した他社のネタの後追いでしかないわけでマスコミが自慢気にやることではないのだが、「日本最大のインターネット掲示板で紹介された・・・」という前振りをつけることで日本のネットユーザーの世論が2chに代表されているかのごとく記事を作成している。

しかし、はたして2chは「日本のネットユーザーを代表している」といっていいのだろうか?

まず、2chに書き込みをするユーザーはどういう人間だろうか、が問題だろう。

2chの書き込みにおいては実名を記入する必要はない。ほとんど全ての書き込みはシステムが提供するデフォルトの名前の下に書き込まれている。ここで問題なのは匿名であることではない。コメントを書いた人間の立場がわからないこと、そしてコメントの記入者の同定ができないことである。

「コメントを書いた人間の立場」であるが、代表的な例として飲酒や喫煙、また性道徳に関する記事におけるコメントの記入者が果たして成年であるかどうかである。「マナーを守っていれば喫煙は問題ない」というコメントの記入者が未成年である場合、そのコメントに意味はあるだろうか?「未成年同士が好きになってはいけないのですか?」というコメントの記入者は果たして未成年なのか?その保証が全くない状態で、そのコメントへの是非を考えることに意味がない。「私は年金受給者ですが老人は姥捨て山に捨てるべきだ」なんていう書き込みは本当の年金受給者でも問題発言だがそうでない発言者なら殺人幇助・誹謗中傷だ。

「コメントを書いた人間の同定ができない」というのは、議論が進んでいくと1件の書き込みに対して複数の返信があり、さらにコメントがついていくことになるが、その場合に誰がどのコメントを書いたのか、複数のコメントの中でどれとどれが同一の記入者の書いたものなのかを同定できないことがある、ということ。2ch側はIDという機能を用意し日付とIPアドレスから生成される値を表示することで同じ日付で同じIPアドレスからの書き込みについては同一の記入者であると判断できるが、日付をまたげばIDでは記入者はトレースできなくなる。2chに入り浸っているユーザならともかく、普通の社会人は一度文章を書いた時に続けて何本も文章を書く暇はないため、このIDの理屈では同じであることを自ら証明しなければ同一人物との判断は不可能だ。逆にIPアドレスさえ変更すれば別人物になりうるため、あるIPで嘘の文章を書き込み、別のIPでそれを賛美することも可能である。

さらにつっこむなら、2chへの書き込みの件数の大小は世論とはリンクしていない。上で書いたように同一人物でも別IDにすることで2ch的には別人格として扱われる。その問題が特定の世代や職業を対象とするときに、そうでない対象者がつけるコメントには意味が無いがその判断も2chではできない。そして同じ人物が何度も書き込みすることも禁止されていない。2chの日中の書き込みができる人間、というと、日中にしばしばちょっとした暇がありパソコンの前にかじりついていることが不自然でなくインターネットの利用に長けている人間、例えばデイトレーダーという個人で株取引をする人間やニートの諸氏、大学生、パソコンショップの店員、退職後職に付いていない者、主婦、などの職種に偏っているはずである。あと携帯からの書き込みを考えると、中高生も含まれてくるだろう。それらの人間に直接利害があるテーマであれば書き込みは多くなるだろうが、そういうユーザの書き込みは世論と一致するだろうか。

例えば政策が原因で株価を下落させるようなニュースがあったとき、現政権に言われ無き誹謗中傷を繰り返す書き込みが見受けられる。一見「一般市民」の顔をして行なわれる書き込みは実際にはデイトレーダーの「鬱憤晴らし」と考えてもおかしくないが、その真偽は不明である。例えば高校生へのタバコや酒、成人雑誌の販売を制限する政策がなされたとき、それを中傷・非難・嘲笑する「成人からの書き込み」があるが、これもその真偽は不明であり、文章の幼さを見ると高校生ぐらいの書き込みと判断されてもおかしくない。

しかし彼らには暇があり武器があり欲望がある。そういう書き込みを少数の人間が大量に書き込むことは不可能ではない。そしてそういう書き込みが非常に多くなってくると「インターネットの日本最大の掲示板では…」という下らないマスコミでのネタになってしまう。これは世論だろうか?2chに入り浸る特定少数の偽装工作による世論の誘導がないかどうかはコメントを読めばわかるのだが、そんな暇がない、という向きには、頭から無視することをお勧めする。

はっきりいって2chに存在する情報は非常に密度が低い。玉の情報を求めるために幾千万の石を取り除かねばならない。Googleの検索でも2chの情報は結局回答が書かれていないことが多い。だからGoogle検索で2chのサイトの記事の調査は後回しにする。その程度のものなのだ。さらにいえば、2chの書き込みは長文ではない。長文を毛嫌いする風潮がある。携帯から利用するユーザーが多く、長文を見たり書いたりするための手間がかかるからだ。また、短文であれば感情的に反射神経で書き込むこともでき、書き込み件数の大小で評価される2chでは件数を稼ぐために短文で書き込まれることが多い。そして長文を書くには充分な知識と根拠と推理力と訓練が必要であるが、そういう素養の無い人間には長文は書けないため、長文を書く人間をねたみ逆恨みするのである。もっというと2chの書き込みには誤字脱字が多い。校正する暇を惜しんで短文を機関銃のように投稿して自分の意見を数多く表明するのが2chのスタイルなのだ。馬鹿馬鹿しい。

「インターネットの国内最大の掲示板」という名前だけで2chを見るべきではないし、そういう風潮があるのは悲しいことだ。

かつてパソコン通信という世界があった。@niftyがまだnifty-serveだったころのフォーラムの記事は非常に真剣に書かれていた。信憑性も高かった。長文でありながら密度の濃い文章が頻繁に書き込まれていた。

自分自身がフォーラムで鍛えられてきたこともあり、パソコン通信時代のオンラインコミュニケーションにはお世話になったことも多いし、勉強になった。しかし今のオンラインコミュニケーションは密度が低すぎる。情報の集約をするツールがGoogleなどの検索エンジンしかないのが痛い。そしてユーザ数・書き込み件数が最も多い掲示板が2chであることは、そこに集まる情報がガラクタしかないし有益な情報を探し出す手間が大きすぎる点で、オンラインコミュニケーションの文化を衰退させている。

「インターネットを使いこなせるようになるべきだ」という意見は一見もっともだが、現時点でガラクタばかりの情報の海を見てそれをインターネットだと思われるほうがよっぽど恥ずべきことだ。何らかの年令や犯罪歴による規制がなされるのは止むを得ないことなのかもしれない。

2010年6月 9日 (水)

データベースは誰のものか

某法人からのトラブル対応。
Dellの古いデスクトップのHDDが壊れていた。
担当の方も社長さんも「この機械は古いから買い換えるつもりだった。データさえある程度復旧してもらえればいい」とのことで、Ontrack Data Recoveryで壊れたHDDをスキャンし復旧して読めたところをDVDに焼いてお返しして…と思っていたら、そのPCがデータを保持し別PCからネットワーク経由でアクセスされていたMDBデータベースのファイルがあり、それを開こうとしても開けない。
別PCにもソフト自体はインストールされているのでそちらにデータをコピーすれば動くだろう、と思っていたが、どうもMDBファイルが壊れたようだ。「バックアップはありませんか?」と聞いても「すみません、私が入社してからそういう操作は一度もしていません」えーっと。探したけれど結局バックアップはどうやら一度もやってないようでMDBファイルをなんとか修復しなければならない。

アプリはよくある業種向けのソフトでプログラム自体はVBかなにかで作っていて、データベースエンジンとしてAccess97に含まれるJetを使っているようだ。MDBファイルも複数存在し、20個ほど存在するが、Accessで直接MDBを開くとそのうち4つが開けない。
1つはMDBを開こうとすると「ほかのユーザーが同じデータに対して同時に変更を試みているので、プロセスが停止しました。」というメッセージボックスが現れ、OKをクリックするとデータベースが開かれずAccessの画面に戻ってしまう。残りの3つはMDBを開こうとすると「データベース***は修復する必要があるか、データベースファイルではありません。」「このデータベースを修復しますか?」と表示され「はい」「いいえ」のボタンが現れるが、「はい」をクリックしても「データベースの形式***を認識できません」OK→「データベース***は修復できないか、Microsoft Accessデータベースファイルではありません」OKでやはりAccessの画面に戻ってしまう。
秀丸エディタでMDBファイルを直接見れば先頭に「Standard Jet DB」の文字が入っている以上、これらのファイルはMicrosoft Accessデータベースファイル以外の何者でもないのだ。

Webで解決方法をいろいろ探したが、「バックアップを取っていないのが間違い」との記載ばかり目立つ。もちろんそれは事実なのだが、だからといって解決方法がろくに書かれていないというのもどうかと思う。
役にたったサイトとしては、
http://chachahoo.at.webry.info/200903/article_4.html
が復旧ソフトを紹介していた。(ありがとうございます>オーナー)
うちにもそういえば復旧ソフトがあったな、と思い、Ontrack Data RecoveryのAccess Recoveryを実行してみたら、開けない状態だった4つのファイルの内容が見えるようになった。
ただ、データが空のテーブルもあるので今からそのチェックが必要だ。

しかし本当にマイクロソフトの能力の無さに腹立たしくなる。
データベースソフトというのは、ユーザのデータを保管することが仕事だ。
マイクロソフトのプロダクトというのは、うまく動く環境ではそれなりに評価できるのだが、トラブル発生時の処置が悪すぎる。エラーを隠蔽する体質により、問題が起きても真剣に利用者に通知しようとしない。致命的な状態になって後悔しても後の祭り。ゲームなら別に構わないのだが、データベースのような仕事で使うソフトがエラー処理をうまくこなせないというのは、マイクロソフトの開発陣に「うまく動く時のことしか考えない」という致命的な怠慢の精神が蔓延しているのだろう。

ということで、こういうトラブルの場合、有償のソフトの導入が必要だ、と心に留めておいてほしい。

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