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2010年2月16日 (火)

医療のIT化が遅れている原因は何か?

という記事が
http://techtarget.itmedia.co.jp/tt/news/1002/15/news02.html
にあった。(私はMixiで読んだが)

制御系出身のエンジニアとして言わせてもらうと、医療の現場にパソコンが入っていかない理由はただひとつ。
信頼性にかける、この一言に尽きる。
お医者さんというのは大学で言えば理系、パソコンオタクもごろごろしている。パソコンを趣味で触るのは大好き、という医者も多いだろう。そういう経験があるなら仕事でも使ってみればいいのだが、自分の経験として「いきなり落ちる」とか「反応しなくなる」という体験をしているとそれを医療の現場に持ち込むのは野蛮だと考えてもおかしくない。

これはパソコンという電子機器の大雑把さが招いた不具合なのだ。
趣味のパソコンならインターネットからフリーウェアをインストールしたり別のソフトが出たのでアンインストールしたり、またUSBでプリンタをつなぎデジカメをつなぎフラッシュメモリをつなぎ・・・、そしてWindowsの脆弱性が見つかったといってはWindows Updateを繰り返す。
つまりシステムからみたら不確定要素が多すぎるのである。
逆に言うと、インターネットにつながず、接続する機器は限定し増設を許さず、ソフトの追加・削除も許さず、その状態できっちり評価してOKならそのシステムはXP無印であっても安定して動作することが見込める。(ただしインターネットにつないだが最後ウィルスに感染しまくる恐れはあるが)変わるところがないのだから。

ところがマイクロソフトのずさんな製品開発のおかげで、「OSのファーストリリースにはバグはつきもの」という評判が定着している。ちょっと知ったかぶりをしている人は「ソフトウェアのバグはなくすことはできないからやむをえない」と達観しているようだが、それは車の世界では「発表後半年は車の故障は当たり前」みたいな話であり、本来ありえないことだ(昨今のトヨタの不祥事にはあきれてものも言えないが)。
Vistaなど、開発に5年もかけたのにバグや動作速度低下、仕様改悪などの体たらくであり、企業ユーザーが導入に躊躇したのがVista販売不振の原因だ。

医療現場にITを導入、というのはフロントエンドにパソコンを使うことだ。それが信頼できないものだった場合、人の命を奪う可能性も十二分にある。だからそういう現場にマイクロソフトの製品を導入した場合、「責任はマイクロソフトはとりません」という言質をとられることになる。
自分であれだけOSを複雑怪奇にしておきながら「責任はとらないよ」ではシステムを企画する側もそれを承認する医療従事者も手をだせない。
それが「医療のIT化が遅れている」本当の原因だ。

「非常時に停電でパソコンがつかえない」との意見もあるが、本当に必要なシステムになっていれば、大病院なら必ず設置される非常用バックアップ電源をパソコンが利用できるようになっているはずなのだ。今はそこまでのシステムにしてしまったときに非常時でもなんでもないときに運悪く使えなくなってしまうことのほうが問題なので、そこまでのシステムを作りこんでいないだけ。

マイクロソフトはそろそろWindowsの開発を見直すべきだ。
OS本来のカーネル部、ドライバ部、ユーザインタフェース部、おまけソフト部を完全に分割して開発し販売し維持すべきなのだ。そしてカーネルはそれ以外のモジュールを完全に掌握し制御権を確実に握っていなければならないのだ。また、ドライバやデバイスの追加・削除・変更は「特権ユーザならいつでもできる」だけではなく、「システムセットアップ時、もしくはメンテナンスモード以外ではいかなるユーザも変更できない」ようにもしなければならない。そして速度優先のゲームユーザや一部のオタクが使うOSと業務ユーザが使うOSのカーネルが同じである必然性はない(APIが同じである必要はある)。そういうきめ細かい設定のできるOSであるべきだし、「OSが大規模になってしまった」ではなく、目の届く範囲できっちりコンパクトにかつ信頼性の高いものを作るべきなのだ。

そうやって信頼できるOSになったとき、初めて医療現場でも使われるようになるだろう。

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